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「自然農園あぐりーも」fattoria naturale Agri-Mo イタリア野菜・西洋野菜・愛知の伝統野菜を自然栽培で! 

愛知県大府市にてイタリア野菜を始めとする西洋野菜と、愛知の伝統野菜を中心に栽培し、                                   イタリアンやフレンチのレストランに野菜を販売している農家です。

家庭菜園なら 

先日来、ある新規就農希望の方から問い合わせがあり、やり取りをしていました。

大雑把な内容としては、自然農で一万坪もの大規模面積を作付けしたいという事でした。


川口由一さんが提唱する自然農。
これは以前私が行っていた不耕起での栽培方法です。

就農当初は初期投資をするのが嫌で、トラクターなど買わずに農産物が作れればこれほど素晴らしい事は無いと、3年半ほど行いました。

その間の作付け面積は3反でした。


その後作付け面積が6反に広がり、手作業が多い自然農では管理が出来ないと感じ始め、トラクター等を購入し、今に至ります。


このお問い合わせをいただいた方とのやり取りの中で、
『野菜の不耕起栽培は難しいんですね。
自然農というのは不耕起栽培と思い込んでました。
微生物が豊かな土であればふわふわで不耕起栽培が可能かと思ってました』
という一文がありました。


私はこの方とのやり取りで、終始「不耕起での大規模自然農は無理だと言ってきました。」

自然農ですと、とにかく手作業が多い。
畝を立てっぱなしにするから楽なんじゃない?と思う方もいるかも知れません。

家庭菜園ではそれで良いのですが、逆に大規模で作付けをる場合、例えば種を蒔く前に何百メートルもの畝に生えている雑草を刈り取ってから、条蒔きする為に鍬で土を削って、そこに種を蒔き、また土を被せてと言う作業をしなければいけません。

私の経験上の話なのでスピードの差があるかもしれませんが、一人で150坪分のそれらの作業をしようと思うと1日以上かかりますし、かなり腰が痛くなります。

トラクターや管理機で畝を立てた場合、その後に種蒔き機も使いますから、半日で仕事が終わってしまいますし、腰にはほとんど負担が掛かりません。

この労力の短縮と、体への負担の軽減は、この先も農業を続けることを考えると変え難い物です。



『自然農というのは微生物が豊かな土であればふわふわで不耕起栽培が可能』と言うのは土質にもよりけりで、粘土質の場合はフワフワとは行きません。
砂地なら多少はそう言った感じにもなります。
 (どちらの土質でも団粒構造は作りやすいです)


だから私は家庭菜園などで楽しむレベルの物であれば、不耕起の自然農を薦めています。

不耕起のメリットは土に雑草等を鋤き込まないので、病気や虫害が非常に少ない事。
根を伸ばす時に負担が掛かるのでサイズ的には小さくなる事が多いですが、負担が掛かかる分一生懸命に根を張ろうとするので、味の乗り具合もこちらの方がいいです。

家庭菜園程度の広さなら機械を使わなくても草刈できますしね。


不耕起で野菜が出来ないと言う事はありませんし、もちろん出来ます。
ただ大規模面積で作物の管理が出来るかどうかは疑問です。


だから私の経験上では、不耕起栽培は大規模には向かないと結論しています。
但し、働く人数が確保できれば可能だとは思います。

働く人の給料を賄うだけの売り上げを確保できればの話ですけど。




PS:お問い合わせを頂いたS様、メールの文章を勝手に引用すみません。
   他の方にもどの栽培方法がベストなのかを考えていただきたく、
   あえてブログに書きました。



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Comment

Name - トロン  

Title - 自然農

はじめまして

静岡で自然農に近い農業をしているものです。
いつもブログでいろいろ参考にさせていただいております。


そこでいろいろとご質問したいことがあるのですが
①自然栽培の定義がよくわかりません。

植物性の堆肥も使用しないのでしょうか?河名秀朗さんの本によると、植物性の堆肥は物理性を改善するものなので、肥料ではないと言っておられます。また自然農薬は可なのでしょうか?りんごの木村さんは使用しているようですが。あぐりーものさんはこれらを全く使用しないのでしょうか?

②不耕起のほうが味の乗り具合がよい。

ということは、以前あぐりーものさんが自然農をしていたころのほうが野菜の食味は良かったということでしょうか?
それを承知した上で生産効率面から自然栽培に切り替えたということでしょうか?

③不耕起栽培は大規模には向かない?
 
静岡を除く、東海地方で自然農で大規模にやっておられる方はやはりいないのでしょうか?というより自然農で生計をたてている人自体が少ないのでしょうか?私も今は小規模で3反歩です。

よろしくお願いします。
  

2009.12.16 Wed 19:24
Edit | Reply |  

Name - 耕作人  

Title - 

 ◎ トロンさん
コメント有難うございます。

①について
何も入れてません。

相当酷い状態の畑に仮に入れるとしても、最初の数年だけだと思います。
永久には入れません。

農薬は自然農薬や木村さんのように酢なども使っていません。

リンゴに関してはその特定農薬を使っている木村さんが自然栽培と言っているのですから、定義としては曖昧な事この上ないですね(笑)

しかし、野菜や米には撒いていないと思いますよ。

個人的には無肥料・無堆肥・無農薬が自然栽培や自然農法と言えるのではと思っています。


②について
これは言葉が足りませんでした。

まだまだ肥毒が抜けていないような圃場では、相当味覚が良くなければ分からない位の微妙な差ながら、変わる場合もあると思います。
これは不耕起栽培を止めてから気付きました。

ただ耕起していてもベテラン自然栽培農家さんの野菜なら、そんなレベルは通り越していると感じていますし、うちの畑でも良い状態の所なら不耕起でも耕起でも遜色ない食味に栽培できています。


③について
私が知らないだけかもしれませんが、大規模自然農で生計を立てている人と言うのは聞いた事がありあません。

尚、不耕起栽培の畑で2町歩以上(だったと思います)やっている農家さんはいますが、その人は自身の家族、アルバイトも含めて10人近くでやっていると聞いた事があります。

目安として単作の農家さんが機械使って綺麗に管理できるのが一人6反だそうです。

トロンさんがどの広さまで頑張れるか挑戦してみては如何でしょうか?

私は根性が無いので3反で諦めましたし、自然農を推奨している川口さんも一人なら3反が限界だろうと仰っているそうです。

もしお一人で不耕起栽培を1町歩以上管理出来たら私に自慢のコメントを送ってください。

2009.12.16 Wed 23:33
Edit | Reply |  

Name - トロン  

Title - 自然栽培

どうもご返答ありがとうございました。

何もいれていないということですか。
過去に私は不耕起と耕起の比較試験を行ったことがあるのですが、その時には耕していけば土が痩せて行くという現象をはっきりと確認できたました。その常識を覆すことです。うーんたまげました。

私の野菜作りは、自然農農家さんからヒントを得て自分なりにやっています。なので自然農かどうかはわかりませんが、今知られている農法の中では自然農が最も近いと思います。

今年は3反歩やりましたが、今の力でも5反歩はできると思いました。自然農の先人達は1町歩前後やっていますので、経験を重ねればそのくらいできるのではないかと踏んでいます。
栽培者によってきっちり作る方(見栄え等もきれいで歩留まりもよい)とそうでない方もいると思いますので、それによりけりで可能な面積も左右されるのではないかと思います。私は後者のほうです。


この農閑期を利用して農家さんを方方回りたいと思っております。まだはっきりとしたことはわかりませんが、研修やら見学、お手伝い等などの受け入れは可能でしょうか?

よろしくお願いします。
2009.12.19 Sat 21:50
Edit | Reply |  

Name - 耕作人  

Title - 

 ◎トロンさん
「常識を覆す」云々の件ですけど、私の畑のみの話として、不耕起栽培から耕起栽培に変えてまだ2年目ですので、土が痩せていくという現象を感じるまでには至っていないのかもしれません。

ただ名前とかはご存知だと思いますが、千葉の成田自然農法生産組合の高橋さんなどベテランさんは、人為的に堆肥など有機物を与えない耕起栽培の自然農法で、30年ほど立派に営農されているのですから、耕して尚且つ施肥をしなくても作物が育つ何かコツが有るのは確かでしょう。


>自然農の先人達は1町歩前後やっていますので、経験を重ねればそのくらいできるのではないかと踏んでいます。

単一作物や5品種以内であるとか、多品目であるとか、その他の経験値とか様々な条件の違いは有るのでしょうけど、1町を不耕起栽培で一人でやっているとは凄いですね。
私にはとてもマネできませんし、トロンさんが倍近くまでは可能と言う事であれば、是非頑張って頂きたいです。

トロンさんは恐らく私などよりも経験値が豊富な方ではないかとお見受けしています。
不耕起・耕起云々や施肥・無施肥云々の違いを研究されたいのであれば、私の様なぺーぺーの農家を尋ねるよりも、もっとベテランさんを尋ねた方がよろしいのではないでしょうか?

ぺーぺーの畑でも良いよ・・・と言うことであれば、コメント欄ではなく問い合わせ欄を通じてご連絡下さい。


PS:
私がトラクターとかを使い出したのは、文中にも書いてある通り、体への負担軽減も大きな理由の一つです。
元々腰が芳しくないので。
2009.12.20 Sun 00:06
Edit | Reply |  

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